ベンジャミン・バトン The Curious Case of Benjamin Button

映画「The Curious Case of Benjamin Button」を近所の映画館で観た。邦題は「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」。最近ブラッド・ピットがこの映画のプレミアのために日本に行っているというのをニュースで見た。日本に2年間帰っていない身としては、かなりうらやましく感じる。

ベンジャミン・バトンというのはブラッド・ピットが演じる主人公の名前。映画の原案は1920年代に出版されたF・スコット・フィッツジェラルドのとても短い短編小説で、原文はインターネット上で入手可能。Gooleすると出てくる。80歳ぐらいの老人として産まれて、年を取るとともに若返っていくという不思議な人生の中で、大切な人たちに出会い、そして別れていくということを描いた映画である。原案の短編小説は本当に短いのに、映画は166分という長さなのだから、映画ではかなりの部分が脚本家によって創作されている。原作と言わずに原案と書いたのはそのためだ。丁寧に作られていてよい映画だと思ったが、ガツンと心に訴えるタイプの映画ではなかった。

The Curious Case of Benjamin Button: A Graphic Novel

The Curious Case of Benjamin Button: A Graphic Novel

脚本はフォレスト・ガンプエリック・ロス。実はこの二つの映画かなり共通点が多い。ベンジャミンをフォレスとと置き換えると、幼なじみのガールフレンドとの関係、戦争、様々な人との出会いと別れ、アメリカ南部などなど、まさに異次元フォレスト・ガンプと言っても過言ではない。この辺り、作家の明確な意図を感じざるを得ない。

後日追加===
フォレストガンプとベンジャミンを対比したこんなビデオを発見!(必見)
The Curious Case of Forrest Gump

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2/2追加
まだ残っていた動画を発見。
リンクはこちら
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映画は、2005年のハリケーンカトリーナが接近しているルイジアナの病院で、伏線の方の主人公と老人が過去を振り返るという伏線になっている。この伏線について、映画を見ている最中に少し不思議に感じていたのだが、よく考えてみると、話の舞台がニューオーリンズということで、カトリーナ被災地復興事業を行っているブラッド・ピットの強い意向があったのかもしれない。ニューオーリンズ20年代から現在まで美しくそしてノスタルジックに描かれており、アカデミー賞で多部門にノミネートされたことはうなずける。この映画を見て、ハリケーンによる荒廃後に避けられがちだったニューオーリンズに再び行ってみようと思うようになったアメリカ人は多いはずである。

ところで、邦題は「ベンジャミン・バトン」となっているが、なぜ「ベンジャミン・ボタン」にしなかったのだろうか?英語の綴りは服についている"Button"で、日本人にもおなじみの「ボタン」のはずなのに。ベンジャミンの名前のボタンは、少しネタバレになるが、ボタン工場を経営する一家のボタン氏(ちょっとした詩的な洒落なのだと思う)のものなのだから、日本語も「ベンジャミン・ボタン」にした方が自然だと思う。ちなみに、この映画の、ワーナーブラザーズ(パラマウントだったかも)のオープニングタイトルは、ベンジャミン・ボタンにちなんで、服のボタンで砂絵あるいはモザイクのように作られている。

久しぶりにフォレスト・ガンプのような映画を楽しみたい人にはおすすめである。

映画に登場する場所、建物
撮影場所の写真Frickerより
The Lanaux Mansion
こちらはブラッドピットのニューオーリンズの家