サウスバット The South Butt

Grossauge2010-02-23

飽きっぽいたちなので、毎年年始にちょろっとブログを書いて、その後ほぼ一年なにも書かないという状況になっています。今年もそうなりそうな予感がします。

さて、アメリカの大学生の一般的なファッションというと、当然ジーンズですが、少し寒い時期になるとその上にフリースのジャケットというのをよく見かけます。よく女性誌なんかに、「日本の女性はみな同じようなファッションだけれども、ヨーロッパやアメリカの女性はもっと個性的なファッションを楽しむのよ!」みたいなことが書いてありますが、そんなのはトンでもない思い込みです。どこでも同じです。下はバスを待つ学生の皆さん。

私が思うに、若者はどこの国でも新しいファッションとか、ほかの人が着ているようなものを率先して着たがるものなのです。少し年をとってくると、ほかの人のことなんかどうでもよくなったり、違いをあまり気にしなくなったり、自分が好きなものを優先するようになってきたりするので、「流行に流されていない」様に見えたりするのです。ということで、「日本とそれ以外」という構図ではなく、「若者と非若者」という構図の方が、この現象をうまく説明できるのです。

で、ここ数年アメリカの秋冬を席巻しているのは、ノースフェイスのフリースジャケット(あるいはダウンジャケット)とジーンズの組み合わせです。女の子の場合は、スキニージーンズのすそをブーツに入れるというやつです。猫も杓子も"The North Face"なので、ちょっとおじさんが始まっている80年代男のキースは「もうノースフェイスばっかりだから、サウスフェイスっていうジャケット作ってやる。」とか冗談を飛ばしておりました。

冗談かと思いきや、最近ニュースでそういう趣旨のブランドを本当に作ってお金をもうけている若者を発見しました。ブランド名は「サウスバット」"The South Butt"。ノースフェイスは「北」「顔」なので、それをどちらもひっくり返して、「南」「ケツ」という意味のサウスフェイスと名付けたわけです。ブランドのウェブサイトはこちら。ロゴのカーブも逆になっているのがかわいらしいです。創業者のJimmy Winkelmann(ジミー・ウィンケルマン)はまだ未成年ですが、このブランドはノースフェイスの台頭ぶりに飽き飽きした人々から人気を得て、かなりの売り上げを誇っているようです。彼は、当然のことながら、TwitterFaceBookにも露出しています。

もちろん本家のノースフェイスが放っておくわけもなく、訴えられているわけですが、それがまた宣伝になって、益々売り上げがあがっている模様。Wikipediaによると、法廷からは3月中に和解するよう勧告が出たとのことですが、和解に至らなかった場合は、ノースフェイスから出された暫定的な禁止令に関する審問会が4月12日に開かれるそうです。詳しいことはよく分かりませんが、サウスバットのファンの多さから、いずれの結果でもジミー君は不幸になることはないと思います。まだかなり若いし、将来は明るいですね。サウスバットブランドが消えても、このビジネスで得たアウトドアアパレル販売の経験とネットワークで商売を続けることができます。

イデアがあれば即実行してみるべし!アメリカは元気です。

ちなみに、ノースフェイスって何?という人はこのロゴを見ればピンと来るはず。