雪だるまと偶像

テキサスでも雪が降ります。今回は春のぼたん雪でしたが、雪だるまが作れるぐらいの積雪がありました。アメリカ版の雪だるまは日本でもよく知られるようにスノーマンで、見た目は三段重ね、鼻は人参とかで作られます。そして、なんだか日本でよりも多くの人がペニスをつけたがります。ご近所さんの例を挙げると、こんな感じです。

その部分はバナナで作られており、残念ながら既に劣化が始まっているのが判ります。ググってスノーマンの画像を探してみると、たくさん出てきます。帽子をかぶっているのが多いですね。次のようなものは典型的だと思います。

さて、日本の雪だるまはというと、マン(人間)というよりは達磨(これも元々人間ですが)なので、だるまさんっぽくずんぐりしています。大体の場合二段です。今日の世界昔話というブログにあったこの絵がなんとなく自分の雪だるまイメージに合致しているような気がします。

子供の頃に作ったときには、頭にバケツを逆さまにして載せて帽子に見立てたりしました。棒を突き立ててその先に手袋をはめて腕と手っぽく見せるという手法も採用していました。目には石とかを使って、口なんかは木の枝とか草とかその辺にあるものを使いました。

国とか地域によって雪だるまの姿が違うというのは面白いなと思います。雪だるまは偶像の一つだと思うのですが、偶像は作った人が自分自身の見た目に似せて作ることが多いと思います。

カトリックキリスト像やマリア像など、よく見かけるものは白人のように作られているのがほとんどです。忠実に(だれも見たことがないはずですが)再現するとなると、パレスチナ周辺の人なのだからもう少し肌の色が濃かったりするのでしょう。でもルネッサンスの芸術家などはヨーロッパの人々だったし、初期のキリスト教の普及はヨーロッパ世界が圧倒的だったので、イエスやマリアの偶像はヨーロッパ人っぽく作られるようになったのだと思います。アフリカの古くからのキリスト教国であるエチオピアではきっと肌の黒いイエス像や絵などがあるのだと思います。

昔学校で、仏像の伝来とその見た目の地域的な変化を勉強した記憶があります。インド地域から発生した仏教ですが、西に伝播した時には、その地域に住む人のように、釈迦像の彫りが深く目が大きく作られ、東に伝播した時には、東アジアの人々のように、釈迦像の顔が平たく、目が細く作られるようになりました。人々は、偶像を作る時に、自分の感覚で美しい姿を作ろうとするので、自然と自分の地域の人のような顔になるというのは大いに納得できます。

リカちゃんやバービー人形でさえ、日本のものは、アメリカのバービーに比べると、顔が平たく、胸が若干小さかったりします。日本の物はもう少し漫画チックであったりもしますが。

雪だるまも、日本のものは鼻が高くなく寸胴で眉毛が濃く、アメリカやヨーロッパのものは鼻が高く足長だというのは、そういう偶像を作る際の人間の傾向が表れているのではないでしょうか。

そんなことを考えている時に、道ばたで二段重ねの雪だるまを発見しました。そこは数少ない日本人のご近所さんのSさんの家の前だったので、「あぁ、これはSさん一家の作品に違いない。」とすぐに思いました。後ろにあるアメリカンスノーマンとの対比が面白いので写真を撮ってみました。

遠方から光学ズームを使ったのでぼやけていますが、アメリカのスノーマン一家と日本の雪だるま一家が挨拶をし合っているようでとてもほほえましいです。