TiVoを使って2年ぐらい。

スマートTVは日本では生まれないという池田信夫氏の記事を読んで、ほんとそうだよなと思った。

 テレビ番組をネット配信するサービス「まねきTV」が著作権を侵害しているとして、NHKと在京民放5社の起こしていた訴訟について最高裁は18日、著作権侵害にはあたらないとした一審、二審の判決を破棄し、審理を知財高裁に差し戻す判決を下した。

アメリカでは地上派が届かないところが結構あるので、ケーブルテレビや衛星テレビが基本だ。ケーブル会社や衛星テレビ会社が提供するチューナーは大体ハードディスクと一体になっているDVR(デジタルビデオレコーダー)と呼ばれるもので、中のソフトがその会社の仕様になっている。DVRのレンタル料がケーブル会社などのかなりの収入になっているのだけれども、使い勝手はだめなものが多い。番組検索はタイトルを頭から入力しなければならないとか(名前をきちんと覚えてないから検索したいことがほとんど)、インターネットとの接続やホームサーバーとの接続が制限されていたりする。しかも結構フリーズしたりする。
ということでTiVoを使い始めた。1999年に売り出されたTiVoはケーブルテレビや衛星テレビ会社ではない会社が作っているDVRで、番組のスケジュールや録画、インターネットからの録画予約、録画した番組をパソコンで見たりとか、テレビ専用のサーバーみたいな感覚で使うことができる。ケーブル会社などにありがちな制限がないのが魅力だ。第2世代TiVoから使い始めたが、このたびプレミアにアップグレードした。

プレミアだとHDで40時間録画できる。うちのように貧乏学生で10年前のブラウン管のテレビを使用している世帯はまずハードディスクがいっぱいになることはない。デジタルチャンネルやHDも見れるのだけれども、うちの近所のケーブルテレビ会社は寡占状態なので、ビデオの暗号解除カードをもらうのに月11ドルも払わなければならない。ぼったくりもいいところだ。カードは無料というところもあるというのに。なので、いわゆるベーシックケーブルチャンネルをアナログでTiVoしているというわけ。Amazonオンデマンド、Netflix、Blockbusterから映画やテレビはダウンロードできるし、HDだってもちろんダウンロードできるのだから、ケーブル会社に無駄金を払う必要もない。番組の検索をするときは、テレビ番組とオンデマンドからキーワードなどで横断検索できるのもよい。

TiVoではYouTubeやVideo Podcastもシームレスで普通のテレビ録画と同じ感覚で観ることがき、テレビとインターネットの差があまり感じられない。音楽もPandoraやRhapsodyが直接使える。ホームサーバーを自分で追加することもできるし、パソコンの音楽、写真、動画をTiVoと共有してテレビで見ることもできる。TiVoで録画したものをパソコンから見ることができるというのもいい。Macの場合はToastを買わなければならない模様なのでもう少し貯金してから試してみることにする。アメリカに来た時に日本にロケーションフリーを設置していたのが虚しい努力のように感じられてくる。

という訳で、アメリカのスマートTVの登場にはTiVoという放送業界以外の会社による商売の10年以上に渡る成功が背景にあり、その懐は深いのだった。っていうか、ケーブルテレビや衛星テレビ会社のぼったくりにはみんなうんざりしてるんだよね。それが一番の動機に違いない。

テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか
吉野 次郎
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